都内のカフェで仕事をしていると、若い女性2人が僕の近くの席に腰をおろしました。
僕の顔が彼女たちのほうに向いてしまったのは、スカートの丈が驚くほどに短かったわけでも、胸の谷間が見えていたからではありません。
椅子に腰をおろした途端1人が、「あいつほんとちょー最悪なんだけど」と高い声を出したからです。
比較的静かなお店なので、顔を向けたのは僕だけではありませんでした。
周りにいた数人のお客さんの顔が動いたのを確認しました。
僕はすぐにテーブルのパソコンに視線を戻したのですが、周りの人たちの視線を気にしたのか、2人は若干声のボリュームをさげて話をつづけました。
「あいつほんとちょー最悪なんだけど」の内容を簡単にまとめると、男性にご飯を食べにいこうと誘われ期待してついていったら、定食屋だった。という話です。
ご飯に誘った男性の価値観と誘われてついていった女性の価値観に大きなズレがあったようです。
女性の会話から感じたのは、とにかく値段が安かったことに腹を立てているようでした。
1人800円程度、2人合わせても2,000円以下という点に納得がいかないようです。
まるで自分を1,000円以下の女と思われたように捉えてしまっていました。
僕も男ですから、食事に誘った男性をかばうとしたら、逆の理由を考えます。
1,000円以下の女というより、値段をつけられないほど価値のある女性だと感じたからこそ、あえて定食屋を選んだのかもしれません。
800円の食事が悪いか、高級レストランの食事がいいか、ではなく誰とどのように食べるかが重要です。
男性側の落度を考えると、満足させられなかった点かもしれません。
800円の定食屋にいくのであれば、それをカバーするものが必要だったということです。
それは彼女を引き付ける魅力なのか、会話なのか、何かが不足していたことは認めなくてはいけません。
逆の場合もあります。
背伸びをして男性が高級レストランに女性を誘ったのに、女性側が気を使って疲れてしまうという場合もあるでしょう。
要するに値段ではなく、相手が何を望んでいるかを知ることです。
異性に慣れている人であれば、会話から引き出すことも可能でしょうが、初めから本音で話せる人ばかりではありません。
相手が何を望んでいるかを知りたいのであれば、まずはその人に小さな気遣いを繰り返し、見返りを求めないことです。決して自分の感情を押し付けてはいけません。
困っているようなら、余計なことは言わず一生懸命手伝ってあげるだけでいいのです。
いつも明るく挨拶をするだけでも良いでしょう。
焦らず少しずつ距離を縮めることが大切です。
例え一目ぼれしたからといっていきなり距離を縮めようとすると失敗する確率が高まります。小さな親切を何回も繰り返すことです。
人の心を動かすということはそういうことだと思います。
少しずつ相手が心を開いてくれるようになったら、徐々に相手が望むことが見えてくるでしょう。