僕が20代前半の頃に読んだ本に「夢を実現させたいのなら、その夢を鮮明に思い描きなさい」という内容が書かれていました。
今となってはこの意味がわかりますが、当時の僕には難し過ぎました。
「その時どんな家で暮らして、何時に起きて、何を食べて、どんな人が周りにいて……」鮮明に思い描けば、実現するというものですが、当時、僕もやってはみましたが、全くピンときませんでした。
僕が今まで書いてきた内容を読んでくださった方々は、なぜピンとこなかったのか、その理由がわかると思います。
答えは、「無理に考えてしまったからです」。
①夢 ⇒ ②目標 ⇒ ③計画 ⇒ ④実行 ⇒ ⑤継続 ⇒ ⑥達成 ⇒⑦自信 ⇒ ⑧新たな夢
このサイクルができ上がっている方には効果があります。というより、そういった方々は本を読んだり人に聞かなくても、その理屈を身体が覚えているものです。
考えるのではなく、湧き上がってくる感覚です。
当時の僕にはそれがなかったので、本を読んで無理に夢を鮮明にして目標に切り替えようとしていたのです。
余計なことは考えず、「一生懸命取り組むこと」が自分のスタンダードになれば、①夢が②目標に切り替わるようになります。
もちろん、これだけで夢が現実になるわけではありません。
次に多くの方々が失敗するのが、<③計画と④実行⑤継続>です。
自然と夢が目標に切り替わった時、そこには大きなエネルギーがあります。
エネルギーが大きいのはとても良いことですが、それが裏目に出ることがあります。
例えば、資格を取りたいという夢が目標に切り替わった場合、初日から4時間も5時間も勉強をしてしまう人がいます。
これは夢を早く実現させたいという思いからくるものですが、逆に挫折する要素でもあります。
実績のある人なら最初から飛ばしても継続できますが、慣れない人がはじめから飛ばしてしまうとストレスになります。
これが「リバウンド」です。形状記憶合金のようにもとの生活に戻ろうとする力が加わるからです。
いくらはじめの出だしがよくても、途中でやめてしまったら目標は達成できません。
既に書いた通りですが、人は周りに影響を受けやすいので、つい周りの物差しに合わせようとしてしまいます。
目に見える坂道ならば、自分が登れるか登れないか、すぐに判断はつきますが、目標へ向かう坂道は目には見えないので、はじめから急な傾斜を登ろうとしてしまいます。まさにそこが挫折の原因です。
目標を達成させたいのであれば、周りに流されず自分に合った無理のない角度を設定することです。
資格の例に置き換えると、最初から4時間も5時間も勉強するのではなく、できるだけ元の生活を変えずに1日30分からはじめても良いでしょう。
今まで何をやっても長続きしなかったという人は、1日1ページ本を読むというところからスタートしても良いでしょう。
ここで大切なのは、毎日続けることと、前日より量を減らしてはいけないということです。
調子が良いから今日だけ量を増やすというのも止めたほうが良いでしょう。
無理をするとリバウンドの原因になります。
量を増やすタイミングは、毎日苦にならず確実に繰り返せるようになった段階でよいのです。
緩やかでも、確実に右肩上がりの線を描きつづけることが大切です。
「そんなにのんびりしていたら、今年の試験に間に合わなくなる!」と思ったら、勇気を出して目標を下げてください。
1年という無理な目標ではなく、あえて目標を下げて2年の設定にしても良いでしょう。あくまでも自分の基準です。
1年や2年くらい遅らせたからといって長い人生を考えたら、確実に目標を達成できるほうを選んだ方が自分のためです。
「会社の仕事は、どうしたらいいの?」と質問されることもあります。
確かに会社の場合は、自分の意思に関係なく、無理な目標を押し付けられることが多々あるものです。
でも僕は、会社の仕事だからといって合わせる必要はないと思っいます。
「自分だけ目標を半分にしてください」なんて、わざわざ声に出していう必要はありませんが、ここでも無理をしないことです。あくまでも自分の基準でよいのです。
継続するには半分が限界だと感じたら、目標を半分に下げればよいのです。
無理をして周りに合わせようとするから、ストレスになったり、鬱になってしまうのです。
例えそんなことでクビだと言われるのであれば、その方が体のためにも良いでしょう。
常に自分の基準をもつことを心がけてください。
但し、自分が半分しか達成できないと、誰かがその穴を埋めなければいけないというのも事実ですから、絶対に偉そうにしてはいけません。
少しずつ力がついてきたら、逆に高い設定にすることも可能になりますので、仮に会社から10という目標を設定されても、自分の目標を倍の20に設定し貢献すればよいのです。
はじめは目標を下げてでも、「できそうだ」という感覚を大切にしてください。
あくまでも自分の基準を大切にしてください。