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以前、ある有名な画家のアトリエにお邪魔したことがありました。
壁に立てかけられている大きなキャンバスがあって、それは描いている途中の絵でした。
筆を持ってキャンバスに絵を描いていたかと思うと、しばらくすると、絵から離れて全体を眺めるんです。
そしてまたキャンバスに近づいて筆を動かす。
その繰り返しでした。
画家の絵を描く姿を見た時に、これは人生と同じだなと思いました。
絵を描くことを人生に置き換えると、日々の行動は、筆を持ってキャンバスに絵を描くようなものです。
目の前のことに集中するのはいいことですけれど、1つの視点で物事を見ていると、歪んでしまってもなかなか気づきません。
例えば、とても大きな紙に真っすぐな線を書くとします。
最初は真っすぐでも、少しずつ曲がってしまうものです。
近くで見ていると、曲がっていることにも気がつきませんので、どんどんズレていってしまいます。
線が曲がっていることに気づくには、少し離れて眺めてみることです。
少し離れて見ると曲がっていることに気づきます。
画家が絵を描く時に、キャンバスから離れて全体を眺めるのは、この歪みに気づくためです。
日々の生活の中で自分の生き方に疑問を感じたら、もしかすると歪んでいるのかもしれません。
そういう時は少し遠くから自分の人生を見てみるのもいいと思います。
自分の人生を遠くから眺めるには、自分の人生の終わりを想像して、あと1年、あと半年しか生きられないとしたら、今と同じ生活を送るかどうかです。
死を想像するというのは、ちょっと極端ですから、ちょっと先の自分の姿を想像するのでもいいと思います。10年後、20年後、今と同じ生活を送っていたいかどうか。
そんな風に視点を変えて自分の人生を眺めてみると、今自分が向かおうとしている方向がいいのか、もっと違う生き方をしたほうがいいのかが見えてきます。
近くで見る、遠くから見る、この2つの視点が大切です。
どちらか1つだと、バランスが崩れてしまいます。
近くだけで見ると、歪みに気づけません。
逆に遠くから眺めているだけだと、理想ばかり追い求めて何も実現できない人になってしまいます。
後悔しない生き方に気づいても、途中から方向を変えるのは勇気がいることです。
今まで自分のしてきたことが無駄になってしまうのではないかという思いが込み上げてくると思います。
でも、それは切り離して考えるものではなくて、今まで積み上げてきたことがあるからこそ、新たな道に気づけたということです。